立波の・立浪の(読み)たつなみの

精選版 日本国語大辞典 「立波の・立浪の」の意味・読み・例文・類語

たつなみ‐の【立波の・立浪の】

① 波が次から次へと押し寄せてくるところから、しきりにの意の「しくしく」にかかる。
万葉(8C後)一二・三〇二六「君は来ず吾はゆゑ無み立浪之(たつなみの)しくしくわびしかくて来じとや」
② 立つ波の音の意で、うわさの意の「音(おと)」にかかる。
和泉式部集(11C中)下「蘆(あし)分くる程にきにけりたつ浪の音に聞きてしこや難波潟(なにはがた)
③ 押し寄せた波が引いていく意で、同音を含む「引く」を介して、地名「ひく島」にかかる。
散木奇歌集(1128頃)悲歎「たつ浪のひく島に住む海人(あま)だにもまだたひらかに有けるものを」
④ 波が押し寄せる意から、「寄す」の「よ」と同音の「夜」にかかる。
※続後撰(1251)秋上・二五八「あきも猶あまのかはらにたつ浪のよるそみじかきほしあひのそら〈土御門院〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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