社会保障関係費(読み)しゃかいほしょうかんけいひ(英語表記)social security‐related expenditures

知恵蔵 「社会保障関係費」の解説

社会保障関係費

国民の生活を保障する社会保障に関連する歳出。一般会計における社会保障関係費は社会保険費、社会福祉費、生活保護費、保健衛生対策費、失業対策費に分類されている。平成19(2007)年度一般会計予算では、前年度比2.8%増の21兆1409億円が計上され、国債費地方交付税交付金を上回る最大の規模を占めている。同年度予算では、高齢化の進展等に伴い、経済の伸びを上回って給付と負担が増大していくことが見込まれる中で、歳出の抑制を図っていく必要から、雇用保険国庫負担縮減、生活保護の見直し等を推進する一方で、国民の安心を確保する観点から、少子化対策や医師確保対策、がん対策に重点的に対応しようとしている。費目別に見ると、生活保護費は前年度比3.1%減の1兆9820億円、社会福祉費は7.3%増の1兆6223億円、社会保険費は4.6%増の16兆8999億円、保健衛生対策費は1.4%減の4152億円、失業対策費は48.8%減の2215億円となっている。

(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2008年)

社会保障関係費

政府予算の一般歳出に占める、医療や年金介護、生活保護など、総額20兆円を超える社会保障の経費のこと。その大部分は、厚生労働省の予算に含まれる。人口の高齢化が進むと、制度が変わらなくても、年金や医療、介護に投入する経費も増大する。この部分を高齢化の進展による自然増(当然増)という。厚労省予算編成は制度改革を行い、高齢化による自然増を削減させ、全体としての伸びを3〜4%に抑えている。例えば、2006年度の社会保障関係費は20兆5739億円で、8000億円の自然増が見込まれていたが、医療制度改革診療報酬の引き下げなどにより、3490億円を削減し、地方分権改革による削減分も含め全体として0.9%の伸びに抑えた。しかし、こうした方法での予算編成は難しくなっており、社会保障の給付と負担の全体的な見直しが必要になっている。

(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の社会保障関係費の言及

【社会保障費】より

… 現在公表されている社会保障費の代表的な統計には,前出のILO〈社会保障の費用〉のほか,厚生省の社会保障給付費,社会保障制度審議会事務局の社会保障費,経済企画庁〈国民経済計算〉における社会保障費がある。また国の一般会計における〈社会保障関係費〉があるが,これは社会保険や児童手当に対する国の負担金や補助金,個人に対する扶助費や手当,国の直轄する社会福祉施設の費用などであり,社会保障費の一部にすぎない。
[国際比較]
 社会保障費の対国民所得比は1960‐70年代の20年たらずの間に2~3倍に急増したが,その中心をなしているのは年金(表)である。…

※「社会保障関係費」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」