日本大百科全書(ニッポニカ) 「砧(織物)」の意味・わかりやすい解説
砧(織物)
きぬた
きぬいた(衣板)の略で、織物を織り上げたのち織機から下ろしたままでは、堅くてなじまないので、織り目をつぶして柔らかくし、つやを出すために使われる道具。これを使ってする作業を砧打ち、または砧仕上げともいう。一般に石や木の台の上に折り畳んだ布を置き、木槌(きづち)を使って何回もたたく。これは麻・木綿に使われ、古くは弥生(やよい)時代の遺跡からこの目的に使用されたと思われる木槌が出土している。また絹では円棒に織物を巻いたのち、両端を軸受に支えて、回転させながら木槌で打ってつやを出す。また砧は、たたき洗いのための洗濯する道具として各地で使われている。現在では砧仕上げと同じく打布機(だふき)か、ヘビー・カレンダーを使い、同じような風合いをつくりだす方法がとられている。
[角山幸洋]