石村郷(読み)いしむらごう

日本歴史地名大系 「石村郷」の解説

石村郷
いしむらごう

中世、太田おおた庄の一郷。現在豊野とよの町大字石にその名を伝えているが、この石区を中心とした地域とみられる。

隣郷の神代かじろ郷や石村みなみ(現豊野町大字南郷の地域)島津氏の所領であったのに、石村郷は大倉おおくら郷(現豊野町大字大倉蟹沢かにさわの地域)とともに北条氏の所領であった。北条実時がこの両郷を所領とするに至った事情は明らかでないが、文永一二年(一二七五)四月、実時は石村郷を大倉郷とともにその妻女藤原氏に譲渡した(金沢称名寺文書)。藤原氏(蓮心)は、故実時の菩提、自分の菩提その他のために、石村郷を実時の建立した武蔵国金沢称名しようみよう寺に寄進している(金沢文庫文書)

石村郷
いわむらごう

和名抄」高山寺本・東急本ともに「石村」と記し、高山寺本は「以波无良」、東急本は「伊波牟良」と訓ずる。「土佐幽考」は「在鏡野之南」とし、「日本地理志料」は長宗我部地検帳に岩村郷地検帳があることを記し、「元禄検田帳、岩村ノ郷、管掘内・蔵福・経田・福田・金地・包末・松本・徳松・神通寺ノ九邑」と記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報