甘草屋敷跡(読み)かんぞうやしきあと

日本歴史地名大系 「甘草屋敷跡」の解説

甘草屋敷跡
かんぞうやしきあと

[現在地名]塩山市上於曾

もと上於曾かみおぞ村の長百姓であった高野伊兵衛家の屋敷で(現塩山市所有)、JR中央本線塩山駅北口の前にある。県指定史跡。江戸時代中期以降薬草として珍重された甘草を屋敷内に設けた園地で栽培し、幕府御用を勤めたことから甘草屋敷とよばれ、享保九年(一七二四)の上於曾村明細帳(県立図書館蔵)にその名がみえる。同五年の伊兵衛の書上によれば、伊兵衛家で甘草を所持していた由来は、六、七〇年以前の曾祖父庄兵衛の代に八代郡東新居ひがしあらい(現一宮町)の弥次右衛門から根分けして屋敷に植えたのが始まりであるとし、享保五年に至って幕命により採薬使丹羽正伯の見分の結果、屋敷内に二七本の甘草を確認し、甘草主の伊兵衛ほか村役人に対し以後その管理と育成に留意して幕府へ上納すべきことが命じられ、正徳元年(一七一一)検地帳に載る屋敷一反一九歩(分米一石二斗八升)の年貢諸役が免除された(「甘草所持由来ほか書付」塩山市蔵)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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