現無(読み)うつつない

精選版 日本国語大辞典 「現無」の意味・読み・例文・類語

うつつ‐な・い【現無】

〘形口〙 うつつな・し 〘形ク〙
正気を失っているさま。ぼんやりと放心しているさま。
明月記‐建暦二年(1212)七月一三日「暑気難堪、無現心神迷惑、風情不言」
徒然草(1331頃)一一二「この心を得ざらん人は、物狂ひともいへ、うつつなし、情なしとも思へ」
② しっかりした分別をもっていないさま。たわいない。
増鏡(1368‐76頃)一五「心ばへなどもいかにぞや、うつつなくて、朝夕好む事とては、犬くい、田楽などをぞ愛しける」
③ 正気を失って愚かしいさま。
評判記秘伝書(1655頃)かぶろ人あひの事「うつつなきとは、あほうをいふなり」
④ 自分のことについて、満足できる状態でないさま、分別のたりないさまであると卑下していう。
実隆公記‐永正四年(1507)九月紙背(女房消息)「返々我身ふためき候て、うつつなく候」
うつつな‐げ
〘形動〙

うつつ‐な【現無】

(形容詞「うつつなし」の語幹) しっかりした分別や思慮をもっていないさま。正気でないこと。たわいないこと。
※車屋本謡曲・蝉丸(1430頃)「実(げに)さか髪の影うつる。水をかがみとゆふ浪の、うつつなの我が姿や」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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