玖波村(読み)くばむら

日本歴史地名大系 「玖波村」の解説

玖波村
くばむら

[現在地名]大竹市玖波町・玖波一―七丁目

かさ山の東南に位置し、北東大野おおの(現佐伯郡大野町)南西黒川くろかわ村に接し、東は瀬戸内海に臨む。沿岸部を山陽道が通り、宿駅として賑った。「芸藩通志」は「万葉集」巻五にみえる「高庭の駅家」の駅名コバと読み、当地にあてるが、大野町高畑たかばたけとする説が有力である。村名は今も木場山こばやま地名が残る木場に由来し、昔この地が薪・材木の積出地であったことによるという。

応安四年(一三七一)今川了俊の「道ゆきぶり」にみえる「つは」は当地のことで、周防秋穂八幡宮旧記(山口県吉敷郡秋穂町秋穂正八幡宮蔵)の応仁元年(一四六七)の記事に「久波津問丸」とあり、当時問丸のあったことがわかる。「中書家久公御上京日記」の天正三年(一五七五)三月二三日の記事に「くはたとて町立有、是ハ舟を作所也、作おろさるゝ舟五拾二艘かハらはかりをすえ置たるハ数をしらす」とあり、当地は「くはた」と記され、船造りが盛んであった様子を伝える。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報