犬上庄(読み)いぬかみのしよう

日本歴史地名大系 「犬上庄」の解説

犬上庄
いぬかみのしよう

現彦根市高宮たかみや町・安食中あんじきなか町、犬上郡豊郷とよさと安食南あんじきみなみ安食西あんじきにしなどに遺称を残す庄園。本家は近衛家、のち実相院門跡。領家は奈良興福寺。庄内高宮郷安食あじき郷は大原三千おおはらさんぜん(現京都市左京区)領。なお安食郷はのち安食庄となる(豊郷町の→安食庄

仁平四年(一一五四)一二月一九日、犬上東郡にあった故北政所の位田二〇町を改めて三位中将(藤原基実)の位田とすることが定められており(兵範記)、これが当庄のもととなったと思われる。その後、本家職は普賢寺殿(藤原基通)の許可を得て北小路(藤原基通の子兼基)尼から静忠(基通の子、三井寺長吏)に、寛元二年(一二四四)八月二五日静忠から弟子の権僧正静基(静忠の甥)に譲られ(建長五年「近衛家所領目録」近衛家文書)、静基の草創した実相じつそう(現京都市左京区)が管領する大雲だいうん(現同上)領となった。建武三年(一三三六)九月三日、実相院増覚(近衛基平の孫)は大雲寺領犬上位田を安堵されており(「光厳上皇院宣」実相院文書)、長禄三年(一四五九)一〇月二五日の実相院門跡領目録(同文書)にも「近江国御位田」とみえ、代々同門跡に伝領された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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