牛大夫(読み)うしだゆう

朝日日本歴史人物事典 「牛大夫」の解説

牛大夫

生年生没年不詳
室町前期の能役者。法名牛阿。応永29(1422)年4月18日醍醐清滝宮の祭礼で「牛入道」が観世入道(世阿弥)と共に三郎元重(音阿弥)の後見をしており(『満済准后日記』),観世座付きの役者であったらしい。舞台で鼻をかんでからおもむろに演技に入ったというエピソードは有名である(『申楽談儀』)。笛も得意としていたらしく,観世方の笛の名人「ちがひ」の師匠とされており(『四座役者目録』),笛方の祖とも呼ぶべき存在でもあった。<参考文献>香西精「牛大夫と牛熊」(『続世阿弥新考』)

(石井倫子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報