熱現像(読み)ネツゲンゾウ

化学辞典 第2版 「熱現像」の解説

熱現像
ネツゲンゾウ
thermal development

一般には,熱エネルギーによって各種写真潜像を現像することをいう.実用上重要な熱現像利用写真法にドライシルバー(商品名)がある.少量の感光性ハロゲン化銀と被還元性で非感光性の高級脂肪酸塩(たとえば,ベヘン酸銀)と,還元剤(ヒドロキノン,ビスフェノール類など)とを含む乳剤を用いる.露光によりハロゲン化銀に生じた潜像(微小な銀核)の触媒作用により,脂肪酸銀が還元されて銀画像が生じ,可視化される.感度は低いが,100 ℃ 数秒の加熱で処理できるため,乾式,迅速の特徴が注目され,マイクロフィルムからの引伸ばしプリント,電子工学機器での画像記録,医療用ハードコピーなど応用範囲が広い.熱現像カラー感光材料も開発されており,
(1)分光増感したドライシルバーを多層塗布し,無色のロイコ色素(自身は酸化されて発色する)を還元するもの,
(2)熱現像時に潜像をもつハロゲン化銀を還元して,自身は拡散性の色素を放出する化合物を用いて画像を転写する方式,
などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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