日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
烏帽子岳(岩手・秋田県境)
えぼしだけ
岩手県岩手郡雫石町(しずくいし)と秋田県仙北市(せんぼく)の県境にある山。標高1478メートル。高原状の山稜(さんりょう)上に突起するアスピトロイデ型の火山で、秋田側から見ると山頂部が少女の乳房を思わせることから乳頭山ともよぶ。山頂部は、山腹の開析が進み、侵食によって崩壊した西側火口壁の残部である。南東部の千沼ヶ原(せんしょうがはら)は高山植物や池塘(ちとう)の多い高層湿原で、6~7月が見ごろ。登山には西麓(せいろく)の乳頭温泉郷の黒湯口が最適で、途中にはオオシラビソ寒林帯、高山植物帯などが展開する。十和田八幡平(はちまんたい)国立公園の南部を占め、頂上からは岩手山などの展望がすばらしい。
[川本忠平]