乳房(読み)ちぶさ

精選版 日本国語大辞典 「乳房」の意味・読み・例文・類語

ち‐ぶさ【乳房】

〘名〙 哺乳類胸部あるいは腹部にある乳腺の開口部で皮膚が隆起している部分。雌では、特に哺乳期に著しく膨大する。先端は小突起の乳頭を形成し哺乳に便利になっている。種により一ないし数対ある。ヒトの女子では成熟期に乳腺が急に発達し、胸部の皮膚を半球状に膨隆させ、乳房を形成する。乳房の中心の頂部は色素が沈着し乳輪をつくり、その中央に乳頭がある。ち。ちち。ちぶくろ。にゅうぼう。
※霊異記(810‐824)上「母其の嬭房(チフサ)を出して悲しび泣きて曰はく〈興福寺本訓釈 嬭房 二合知夫佐〉」
※浮世草子・新色五巻書(1698)四「女たる者乳房(チブサ)をかくし」

にゅう‐ぼう ‥バウ【乳房】

〘名〙 =ちぶさ(乳房)〔瘡瘍全書‐乳病証治〕

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百科事典マイペディア 「乳房」の意味・わかりやすい解説

乳房【ちぶさ】

〈にゅうぼう〉とも。哺乳(ほにゅう)類の乳腺をおおうふくらみ。その頂上には乳頭があって乳管が開口し,その周囲には着色した輪(乳輪)がある。ウシヤギなどの家畜ではよく発達するが,野生動物ではあまり発達せず,乳頭によってしか判別できないものが多い。乳頭の数と位置は種によって異なり,胸部だけでなく,腹部や鼠径部にもつものもいる。ヒトでは左右1対。男性では乳頭,乳輪は痕跡(こんせき)的で乳房の形成はない。女性では乳腺の発達に応じて大きくなるが,脂肪組織も多量に含まれるので,その形状は個体的に,また栄養状態などで異なる。
→関連項目乳頭

乳房【にゅうぼう】

乳房(ちぶさ)

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デジタル大辞泉 「乳房」の意味・読み・例文・類語

ちぶさ【乳房】[書名]

伊集院静短編小説。自身の体験をもとに、白血病を患った妻との交流を描く。平成2年(1990)刊行翌年、第12回吉川英治文学新人賞受賞。平成5年(1993)根岸吉太郎監督により映画化。

ち‐ぶさ【乳房】

哺乳類の胸や腹にある皮膚の隆起した乳腺の開口部。雌では成熟や妊娠につれて発達する。動物の種類によって一ないし数対ある。ち。ちち。にゅうぼう。
[補説]書名別項。→乳房

にゅう‐ぼう〔‐バウ〕【乳房】

ちぶさ。

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デジタル大辞泉プラス 「乳房」の解説

乳房

1993年公開の日本映画。監督:根岸吉太郎、原作:伊集院静による同名小説、脚本:斉藤博。出演:小林薫、及川麻衣、竹中直人、戸川純、金久美子、滝沢涼子、新島弥生ほか。

乳房

池波正太郎の長編時代小説。1984年刊行。「鬼平犯科帳」シリーズ番外編。

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栄養・生化学辞典 「乳房」の解説

乳房

 乳汁を分泌する器官で乳腺が発達している.いわゆるちぶさのこと.

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世界大百科事典 第2版 「乳房」の意味・わかりやすい解説

ちぶさ【乳房 mamma】

哺乳類の乳腺を覆う膨らんだ部分で,その先端に乳頭papilla mammalがある。乳房はウシ,ヤギ,ヒツジなどの家畜では顕著であるが,野生の哺乳類では授乳期においてもあまり明らかでなく,乳頭によってその存在がわかる程度のものが多い。乳頭は単孔類以外の哺乳類に見られ,胚の乳線(前肢原基と後肢原基の基部を結ぶ線上を走る外胚葉肥厚)上に発達し,その数は産児数と,位置は生活様式系統と関係があり,分類上しばしば重要な特徴となる。

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普及版 字通 「乳房」の読み・字形・画数・意味

【乳房】にゆうぼう

ちぶさ。

字通「乳」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「乳房」の意味・わかりやすい解説

乳房
にゅうぼう

乳腺」のページをご覧ください。

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世界大百科事典内の乳房の言及

【産褥】より

… 乳汁分泌については,産褥第1日までは少量の初乳の分泌がみられるだけであり,規則正しい成乳の分泌は産褥第2~4日に至って初めて開始する。乳房は急速に腫張・増大して結節ないし索状の硬結を触知でき,しばしば圧痛を訴え,また腋窩(えきか)リンパ節の腫張疼痛を伴うことがあり,軽度の乳熱milk feverをきたすこともある。成乳の分泌は乳頭の吸引刺激により,ますます盛んになり,分娩後7~8ヵ月で最高に達する。…

【乳房】より

…哺乳類の乳腺を覆う膨らんだ部分で,その先端に乳頭papilla mammalがある。乳房はウシ,ヤギ,ヒツジなどの家畜では顕著であるが,野生の哺乳類では授乳期においてもあまり明らかでなく,乳頭によってその存在がわかる程度のものが多い。乳頭は単孔類以外の哺乳類に見られ,胚の乳線(前肢原基と後肢原基の基部を結ぶ線上を走る外胚葉の肥厚)上に発達し,その数は産児数と,位置は生活様式や系統と関係があり,分類上しばしば重要な特徴となる。…

【妊娠】より

…一方,臍窩(さいか)は増大した妊娠子宮の圧迫によって妊娠第7ヵ月ころからしだいに浅くなり,ついには消失してしまう。(4)乳房の変化 乳房は妊娠によってその大きさ,形状,硬さ,感受性を変じ,着色し,分泌機能を開始する。乳房の増大は妊娠第2ヵ月ころから始まり,末期には平時の3~4倍の重さになる。…

※「乳房」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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