火炎文(読み)かえんもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「火炎文」の意味・わかりやすい解説

火炎文
かえんもん

燃え上がる炎をかたどった文様古代社会では火は神聖視され、悪霊防御に用いられるなど、火に対する信仰古くから世界各地にみられる。火炎文にはこういった呪術(じゅじゅつ)的な意味が託されており、たとえば中国では漢代以後、竜(りゅう)、虎(とら)、獅子(しし)など、獣の文様に火炎文をつけ呪力を備えた獣を表現したものがある。日本の平安時代における蛮絵(ばんえ)も、この流れをくんだ文様であると考えられる。

 また仏教美術にもこれが取り入れられ、仏像の光背には、火炎文を含んだ美しいものがみられる。

村元雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例