濃駅(読み)のおのえき

日本歴史地名大系 「濃駅」の解説


のおのえき

「延喜式」(兵部省)に安芸国駅馬として記される古代山陽道の駅。駅馬二〇疋が置かれた。東の種篦へら(現廿日市町)と西の遠管おくだ(現大竹市)との間にあり、古代の佐伯郡おおの郷に設置されたと思われる。「広島県史」は駅名「濃唹」について、唹・はオオの嘆声で同義と考えられ「唹濃」としてオオノと訓むべきであろうとし、現大野町の地に比定される。

地形的関係から高畑たかばたけが当駅所在の有力地とされる。高畑は「万葉集」巻五に載る山上憶良長歌の序に「大伴君熊凝は(中略)天平三年六月十七日を以て(中略)京都に参ゐ向ふ、天に幸あらず、路に在りて疾を獲、即ち安芸国佐伯郡高庭の駅家にて身故みまかりぬ」とみえる、高庭たかばの遺名と推定されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報