準輝石(読み)じゅんきせき(英語表記)pyroxenoid

改訂新版 世界大百科事典 「準輝石」の意味・わかりやすい解説

準輝石 (じゅんきせき)
pyroxenoid

メタケイ酸塩の化学組成をもち,鎖状ケイ酸塩イノケイ酸塩)族に属し,繊維状や柱状結晶で輝石ときわめて類似している鉱物をいう。SiO4四面体が一次元方向に連なった単鎖構造をもつ。その周期性の点で輝石と異なり,四面体が3個,5個,7個,9個を周期とする単鎖構造をもつ。その大部分は三斜晶系であり,輝石と異なる。輝石では並列する2個の八面体で形成する帯構造を小さなMgやFeイオンが占めるが,準輝石では,2個あるいは3個の八面体が帯構造を形成し,CaやMnイオン等の大型イオンがそれを占めることが特徴である。したがってマンガン鉱床鉱物やスカルン鉱物と共生して産出する。準輝石にはM2n (SiO3nとM2n-1M1⁺H(SiO3nの二つの系列が存在する。代表的な鉱物として,ケイ灰石CaSiO3,ロードナイトCaMn4(SiO35,パイロックスマンジャイトpyroxmangite(Mn,Fe)7(SiO37,フェロシライトferrosillite Ⅲ Fe9(SiO39,および,ペクトライトpectolite Ca2NaH(SiO33,ナンビュライトnambulite Mn4(Li,Na)H(SiO35,バビングトナイトbabingtonite Ca2Fe2⁺Fe3⁺H(SiO35等があげられる。
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