渋前市(読み)しぶくまいち

日本歴史地名大系 「渋前市」の解説

渋前市
しぶくまいち

[現在地名]美和町大字渋前

近世、渋前村内の岩国と萩とを結ぶ石州街道に沿って開かれた市で、東隣の佐坂さざか村との境を市頭として、長さ一町四五間を指定した。慶長一五年(一六一〇)検地帳に市屋敷一三ヵ所、三段三畝、米四石三斗四升四合とある。「玖珂郡志」に「渋前市、大内時代、山口一ノ関門ニテ、市相賑ヒ去来ノ旅客多シ、故ニ市日、毎月八日・十八日・廿八日定日也、市長一町四十五間、市伝馬二疋、昔ヨリ定也、然ニ享保十四年御断申出」とあるように、享保年中(一七一六―三六)になって市が立つこともなくなり、伝馬の役目もないまま、市は一小地区の名称になった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報