海洋強国(読み)かいようきょうこく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「海洋強国」の意味・わかりやすい解説

海洋強国
かいようきょうこく

中国政府が掲げる国家目標の一つ。長らく大陸国家とよばれた中国であるが、海軍力増強に伴い、海の権益を重視するようになった。2012年11月に開かれた第18回中国共産党大会の政治報告のなかに「海洋強国の建設」という国家目標が初めて盛り込まれた。「海洋資源の開発能力を高めること」と「国家の海洋権益を断固として守ること」の二つが柱となっている。その後、国家海洋局など海洋関連組織を統合して中国海警局を発足させたことや、東シナ海防空識別圏を設定したことも海洋強国建設計画の一環と指摘される。しかし、中国が主張する自国の海洋権益のなかに、中国が領有権を主張してはいるが、他の国が実効支配している離島なども含まれていることから、周辺国の間で「中国脅威論」が高まっている。

[矢板明夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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