浄水処理(読み)じょうすいしょり(英語表記)water purification

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浄水処理」の意味・わかりやすい解説

浄水処理
じょうすいしょり
water purification

給水システムにおいて,人々が水を安全に利用できるようにする処理。都市の拡大や産業の発展,その結果としてもたらされる水の汚染により,浄水処理の重要性は 20世紀になって飛躍的に増大した。最初の浄水場は 1829年にイギリスのテムズ川の水をろ過によって浄化するために建設された。1854年にロンドンで大流行したコレラの発生源が公共の井戸だと判明してから,浄水処理問題は広く関心を集めるようになった。浄水処理が劇的な成果を示したのは 1892年,ドイツのハンブルクを襲ったコレラ禍が,隣町アルトナでは水のろ過システムのおかげで避けられたときだった。ろ過は,いまなお最も広く使われている浄水方式である。緩速ろ過では,水を細かい砂の厚い層を通過させる。ほとんどの不純物は砂の最上層 2~5cmで取り除かれる。急速ろ過では,水は硫酸アルミニウム塩化鉄硫酸鉄などの凝集剤による処理が施される。凝集剤は微粒子を凝集させ,浮遊物を沈澱槽の底に沈める。この準備処理のあと,水は比較的速い速度で粗い砂のろ床を通過する。汚染の激しい水は,ろ過の前後に塩素消毒されることもある。(→ろ過池

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世界大百科事典(旧版)内の浄水処理の言及

【浄水】より

工業用水
[上水道における浄水]
 上水道は安心して飲める水をパイプで配るシステムであり,蛇口から出る時点で保たれるべき水質は,飲料水の水質基準として定められている。したがって,この目標水質に近い良質の原水が得られるほど簡単な浄水処理で足りる。逆に上流域に都市や工場や農地を多数かかえる大河川の下流部から取水せざるをえない場合には,給水の安全を保つために高度で複雑な浄水処理を余儀なくされる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」