流雲文(読み)りゅううんもん

改訂新版 世界大百科事典 「流雲文」の意味・わかりやすい解説

流雲文 (りゅううんもん)

中国古代の漢代に,銅鏡や画像石などを主に,ときには他の器物において,縁飾に盛んに使用された文様竜文から変化した文様と考えられ,電気文のように竜など鳥獣の足,首,胴のなごりがなくなって便化され,流れるような曲線連続進行して,規則的に展開していく文様で,一見,波状文や,唐草文風の形にも見られるようなことがあり,形態的に後代の唐草文流行の素地になっていた。後漢時代の四神鏡,獣帯鏡などの銅鏡を分類するときに一つの指標とされる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の流雲文の言及

【唐草文】より

… 中国では唐代に雲唐草文と呼ばれるものが流布した。これは殷・周代以来の虺竜(きりゆう)文のS字形モティーフが発展し,漢代には波形のリズムを持つ流雲文となり,さらに六朝時代に西方から植物文様がはいると,これが流雲文と複合して雲唐草文となったと考えられる。また唐草のリズムが規則性をもって構成されると幾何学的な文様となって広大な面を装飾することができる。…

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