毛管凝縮(読み)モウカンギョウシュク

化学辞典 第2版 「毛管凝縮」の解説

毛管凝縮
モウカンギョウシュク
capillary condensation

微粉固体に対する液化性気体(蒸気)の吸着量は,吸着平衡圧が飽和蒸気圧に近づくと,液体体積に換算してその粉体に特有の一定値を示し,蒸気の種類によらない.たとえば,0 ℃ において1 g の木炭粒に対する吸着量(cm3 g-1)は塩化エチル(0.540),エチルエーテル(0.538),n-ペンタン(0.538),二硫化炭素(0.542)である.この事実から,この種の吸着は蒸気が凝縮して液化しているものと考えられる.そして,それは粉体の内部にある毛管状微細空げき内において起こるものと考えられるので,これを毛管凝縮とよぶ.トムソンの法則によれば,半径rの毛管内の液体の蒸気圧pと平面状液体の蒸気圧 p0 とは,液面が気相に向かって凹面をなすときには,

で示され,これは近似的に,

と書きなおされる.ただし,R気体定数Tは絶対温度,M分子量,γは液体の表面張力,ρは液体の密度である.したがって,

となるから,つねにpp0 となり,毛管の内径が小さくなるほど蒸気圧は小さくなって液化凝縮が起こりやすくなる.内径が0.2 μm の毛管内の水の蒸気圧は0.99p0 となる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報