檮原(読み)ゆすはら

改訂新版 世界大百科事典 「檮原」の意味・わかりやすい解説

檮原[町] (ゆすはら)

高知県北西部,高岡郡の町。人口3984(2010)。四万十(しまんと)川最上流部の支流域に位置する。北と西は愛媛県に接し,北東部には地芳(じよし)台があって四国カルスト台地が東隣の津野町の旧東津野村に連なる。中世津野荘一帯を支配した津野氏の勢力下にあり,当町から旧東津野村にかけては津野山郷とよばれた。近世には紙の生産が盛んで,1755年(宝暦5)には藩の統制に抗して津野山騒動が起こっている。土佐,伊予の国境にはいくつも番所が置かれ,なかでも九十九曲峠を越えて伊予に抜ける宮野々の番所からは,幕末に坂本竜馬,吉村寅太郎など脱藩者が相ついだ。山間の多雨地帯にあって杉,ヒノキなどの植林に適し,用材シイタケ,栗などを産し,養蚕畜産が行われる。また木材加工,銃砲製造などの工場もある。津野山神楽は国の重要無形民俗文化財〈土佐の神楽〉の一つである。国道197号線が東西に走り,440号線が中央部を南北に走る。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報