朝日日本歴史人物事典 「横山松三郎」の解説
横山松三郎
生年:天保9.10.10(1838.11.26)
幕末明治期の洋画家,また日本写真黎明期の写真家。千島列島のエトロフで生まれる。家系は箱館の廻船業高田屋嘉兵衛の請負を生業としていた。嘉永5(1852)年箱館の呉服商に丁稚奉公に出る。このころから画家を志すが病や家庭の事情により果たせず,20歳代にロシアの画家レーマンに巡り会い,画業と写真を教授される。慶応4(1868)年江戸両国に写真業を開業,その後上野に移り「通天楼」と号して営業した。明治4(1871)年太政官の制度調査御用掛蜷川式胤の依頼を受けて,荒廃した江戸城を撮影した。5年古器旧物保存,すなわち文化財保護の太政官布告を受けて行われた奈良京都方面の文化財調査に参加,その業績は今日も美術史研究上の貴重な資料として生かされている。
(平木収)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報