日本大百科全書(ニッポニカ) 「木綿(ゆう)」の意味・わかりやすい解説
木綿(ゆう)
ゆう
楮(こうぞ)の皮を剥(は)いで、その繊維を蒸し、水にさらしたうえ、細かく糸状に裂いたもの。美しい白色をしており、「白木綿(しらゆう)」ともいう。神事において、幣帛(へいはく)として捧(ささ)げ、榊(さかき)や斎瓮(いわいべ)(神祭用酒饌(しゅせん)陶器)に掛けたり、襷(たすき)(木綿襷)とした。四手(しで)も本来は木綿を使い(木綿四手)、「木綿畳(だたみ)」はこれを編み畳んだもので、神事に用いられた。また、「木綿花(はな)」という造花もつくる。なお、「木綿襷」「木綿畳」「木綿裏(つつみ)」「木綿花の」などは枕詞(まくらことば)でもあり、それぞれ「掛く」「手向(たむけ)」「栄(さか)ゆ」にかかる。
[兼築信行]