昆虫農薬(読み)こんちゅうのうやく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「昆虫農薬」の意味・わかりやすい解説

昆虫農薬
こんちゅうのうやく

農作物害虫を駆逐する天敵を“農薬”として利用するもの。近年、消費者の健康志向の高まりから、無農薬農産物のニーズが高まっているが、無農薬農業には病害虫被害がつきもの。この難点を克服するため、化学農薬を使わずにすむ天敵昆虫による害虫退治が脚光をあびている。おもにハウス園芸で使われ、すでに欧米では数種類の天敵農薬が普及している。日本では1994年にトーメン(本社・大阪市)が、トマトの害虫を退治するオンシツツヤコバチ、イチゴの害虫を捕食するチリカブリダニについて農薬登録を申請、95年から輸入販売され、実際に普及し始めた。

[尾野村祐治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例