散事(読み)サンジ

デジタル大辞泉 「散事」の意味・読み・例文・類語

さん‐じ【散事】

位階だけあって、官職のない者。散位
律令制で、後宮十二司に仕える女官うち女嬬にょじゅ采女うねめなど下位の者の称。
律令制で、四等官以下の初位および位階のない卑官

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精選版 日本国語大辞典 「散事」の意味・読み・例文・類語

さん‐じ【散事】

〘名〙
令制の後宮十二司などに仕える婦人で、掌(掌侍、掌縫など)以上を職事とし、それ以下の采女女嬬などを散事といった。また、職事以外の婦人で位階のみを有する者。
続日本紀‐和銅七年(714)八月乙丑「制、散事五位如応祿、自今以後、准職事正六位焉」
奈良時代国郡雑役に従った下級官人。雑任
正倉院文書‐天平一〇年(738)駿河国正税帳「官符遠江国使磐田郡散事大湯坐部小国」

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普及版 字通 「散事」の読み・字形・画数・意味

【散事】さんじ

散位。

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世界大百科事典(旧版)内の散事の言及

【後宮】より

…また律令支配機構に参加した女性を宮人(くうにん)と総称したが,中心は十二女司に勤務する女性らで,諸司が名に負う職掌で天皇に奉仕したが,天皇の家政機関的な性格が濃く,官位相当規定はない。諸司の掌(しよう)以上が〈職事〉,以下の女孺(によじゆ),采女(うねめ)らを〈散事〉とよぶが,男性官人に準ずる給禄の准位規定(表)があり,蔵司の筆頭である尚蔵以下の地歩が推定できる。そこでは蔵司を最高に,膳・縫司がこれに次ぎ,天皇に常侍して奏請・宣伝する内侍司(ないしのつかさ)は,その次に位置したが,しだいに内侍司の地歩が上昇し,蔵司と肩を並べるに至った。…

【職事】より

…また官位相当の職ではない郡司四等官や軍団の指揮者である大・少毅は,その職務内容から〈外職事(げしきじ)〉ともよばれたが,それらは職事官ではありえない。そして官司機構に参加する女性たちの総称である宮人(くにん)のうち,後宮の十二女司の主要な職員である掌(しよう)以上は〈職事〉とされ,そのほかの宮人たちをさす散事(さんじ)と区別された。その在京の文武職事および大宰府,壱岐・対馬嶋の職事官は,半年ごとに120日以上出勤すると,それぞれの官位によって季禄(きろく),つまり春夏禄・秋冬禄をあたえられた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」