放・抛(読み)はふる

精選版 日本国語大辞典 「放・抛」の意味・読み・例文・類語

はふ・る【放・抛】

[1] 〘他ラ四〙 (「はぶる」とも)
遠くへ放ちやる。
古事記(712)中・歌謡「大君を 島に波夫良(ハブラ)ば 船余り い帰り来むぞ 我が畳ゆめ」
② うちすてる。閑却する。すてておく。
※続日本紀‐宝亀二年(771)二月二二日・宣命「みまし大臣の家の内の子等をも、波布理(ハフリ)賜はず」
[2] 〘自ラ下二〙 (放) 家を離れてさまよう。さすらう。流離する。また、落ちぶれる。零落する。
大和(947‐957頃)五七「親なくなりてのち、とかくはふれて」
読本春雨物語(1808)宮木が塚「此かん崎の里に、はふれ来たりて住みたまへりけり」
[語誌](1)「はふる(放)」と、「はふる(溢)」「はふる(屠)」「はぶる(葬)」「はふる(羽振)」などは、清濁の決定し難い面もあるが、基点とする場所から離れる、または離れさせるという意味を共通に持っているので、語源を同じくすると考えられる。
(2)本来、四段活用で他動詞、下二段活用で自動詞を表わしていたが、平安時代以降、四段活用「はふる」に代わって「はふらす」「はふらかす」が他動詞として使われるようになる。
(3)(二)に関して「改正増補和英語林集成」には「Hafureru(ハフレル)」という下一段活用の例が見られる。

ほ・る【放・抛】

〘他ラ四〙 (「ほうる(放)」の変化した語)
① 投げる。
※歌舞伎・鳥辺山心中(宝永三年)(1706)「何卒知らさんと石をほれば」
② うち捨てて、そのままにする。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「いっこ面倒なら放(ホッ)ておかんせ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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