提重(読み)さげじゅう

精選版 日本国語大辞典 「提重」の意味・読み・例文・類語

さげ‐じゅう ‥ヂュウ【提重】

〘名〙
※虎寛本狂言・茫々頭(室町末‐近世初)「何が菓子と見へまして、結構な提重を持て出まするに依て」
江戸時代明和安永一七六四‐八一)頃の私娼一つ提重箱を持ち、表向き食物を売り歩く様子をして、売色したもの。
※滑稽本・風来六部集(1780)里のをだ巻評「近年提籃(サゲヂウ)と称するは、持はこびの手軽きよりいひはじめ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の提重の言及

【重箱】より

…この時代の《仙伝抄》《君台観左右帳記(くんだいかんそうちようき)》《御飾記(おかざりき)》などの棚飾図中にも描かれ,その実体が知られる(座敷飾)。 なお重箱の一種の提重(さげじゆう)は,花見遊山など外での酒宴等に便利なように,携帯用重箱として工夫されたものである。組重箱をそのまま手提台にのせ,さげるようにした簡単なものと,提鐶(さげわ)のついた枠型の中に重箱,銀あるいは錫製の酒瓶,杯,銘々皿などを一具として組み入れたものがある。…

【弁当】より

…【坪井 洋文】
[弁当箱]
 神沢杜口(かんざわとこう)の《翁草(おきなぐさ)》(1791)に,弁当箱は信長の安土時代にできたもので,〈小さき内に諸道具をさまると云,偽ならんとて信ぜぬ者も有しとぞ〉としている。諸道具の範囲がはっきりしないが,いろいろの器を納めたとすれば,食器や酒器までを組み込んだ提重(さげじゆう)の小型のようなものだったかもしれない。だいたい弁当という語が〈割りあてる〉の意であるから,古く野外の食事や贈物をする際に器物や食物を納めて運んだ行器(ほかい)などに由来すると思われ,《多聞院日記》天正19年(1591)10月26日条などにそうした用例が見られる。…

※「提重」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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