掻遣(読み)かいやる

精選版 日本国語大辞典 「掻遣」の意味・読み・例文・類語

かい‐や・る【掻遣】

〘他ラ四〙 (「かい」は接頭語)
① 押しやる。払いのける。
源氏(1001‐14頃)若紫「いはけなくかいやりたる額つき、かむさし、いみしう美し」
② 行かせる。去らせる。帰す。
浮世草子好色一代男(1682)四「『京に来て、よい事見た目で、大形の事は』と、けされて、是も、かいやりて」
③ 与える。やる。
※浮世草子・好色五人女(1686)三「りんがちは文(ふみ)書きてとらせんとざらざらと筆をあゆませ茂のじ様まいる身よりとばかり引むすびて、かいやり給ひしを」

かき‐や・る【掻遣】

〘他ラ四〙
髪の毛を手で払いのける。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「髪かきやり給ふ手つきいとうつくしげなり」
② 隅の方へ寄せる。かきのける。
※枕(10C終)二九八「みなほかざまに火をかきやりて、炭を重ね置きたるいただきに火を置きたる、いとむつかし」
③ 手で押してあける。
※源氏(1001‐14頃)蓬生帷子(かたびら)を、すこしかきやり給へれば例の、いとつつましげに、とみにもいらへ聞へ給はず」

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