掃墨(読み)ハイズミ

デジタル大辞泉 「掃墨」の意味・読み・例文・類語

はい‐ずみ【掃墨】

《「はきずみ」の音変化。後世、「灰墨」とも当てて書く》ごま油菜種油などの油煙。また、それににかわをまぜてつくった墨。塗料・まゆ墨・薬用などにも用いた。油煙墨

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精選版 日本国語大辞典 「掃墨」の意味・読み・例文・類語

はい‐ずみ【掃墨・灰はひ墨】

〘名〙 (掃(は)きずみの意) 胡麻油、菜種油などの油煙を掃き落とし取ったもの。また、これに膠(にかわ)を混ぜてつくった墨。また、漆・渋などに入れて塗料ともする。さらには、眉墨・薬用としても用いた。油煙墨。
延喜式(927)五「掃墨九升一合」
堤中納言(11C中‐13C頃)はいずみ「はいずみ入りたる畳紙(たたうがみ)を取り出でて」

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世界大百科事典(旧版)内の掃墨の言及

【眉墨】より

…《和名抄》に見える〈黛(まゆずみ)〉は,まゆを抜いて額の上方にまゆを描くためのもので,公家階級は男女とも点眉した。材料は油煙,麻幹(おがら)の黒焼,麦の黒穂などで,形のうえでは粉状の掃墨(はいずみ)やゴマの油で練った捏墨(こねずみ)があった。水嶋流の礼法書《化粧眉作口伝》(1762)によると,捏墨のなかには紅や金箔,露草の花などを入れたものもあった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」