持高(読み)もちだか

改訂新版 世界大百科事典 「持高」の意味・わかりやすい解説

持高 (もちだか)

江戸時代の高請農民高持)が所有する石高の量のことで,抱高ともいった。農民は持高に応じて領主に対する年貢諸役を負担させられたので,持高の多い者は村内における発言力も大きく,持高の多寡によって農民の社会的地位がほぼ決まった。また,5~10石程度の持高がないと一軒前百姓として相当の家計を営むことが困難であることから,幕府諸藩では持高10石未満の百姓が耕地を分割することに制限を加えた(分地制限令)。
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百科事典マイペディア 「持高」の意味・わかりやすい解説

持高【もちだか】

江戸時代,高持百姓がもつ石高(こくだか)の量をいう。抱(かかえ)高ともいうが,持高に応じて年貢(ねんぐ)・諸役の負担量が決められ,また5〜10石ほどの持高がないと一軒前の百姓として経営が成り立ちゆかない場合もあるので,百姓の間の重要な指標となった。10石・1町歩(ちょうぶ)を好ましい経営規模とみていた幕府は(諸大名家でも),分地制限令をもって,百姓が所持する農地を分割することに制限を加えている。

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世界大百科事典(旧版)内の持高の言及

【太閤検地】より

…年貢の収納には京枡という公定枡が用いられ,量制の統一が図られている。 百姓に対して課せられる年貢は,検地によって確定された自己の保有地の石高(持高(もちだか)=所持石高)に,領主側が定める年貢率=(めん)率を乗じた値として算出される。免率は毎年初秋ごろ,稲の生育状況を見分して決めることが原則であったが,春先にすでに決めておく土免(つちめん)法もまれにみられた。…

※「持高」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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