抗血小板剤(血小板凝集阻止剤)(読み)コウケッショウバンザイケッショウバンギョウシュウソシザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

抗血小板剤(血小板凝集阻止剤)

製品名
《クロピドグレル硫酸塩製剤》
クロピドグレル(あすか製薬、エルメッド、エーザイ、共和薬品工業、科研製薬、キョーリンリメディオ、杏林製薬、、小林化工、寿製薬、興和、興和創薬、沢井製薬、サンド、三和化学研究所、シオノケミカル、全星薬品工業、全星薬品、ダイト、高田製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、辰巳化学、大興製薬、鶴原製薬、東和薬品、日新製薬、日東メディック、ニプロ、ニプロESファーマ、日本ケミファ、日本薬品工業、日本ジェネリック、日医工サノフィ、日医工、ファイザー、フェルゼンファーマ、富士フイルムファーマ、マイラン製薬、Meiji Seika ファルマ、持田製薬、持田製薬販売、陽進堂)
プラビックス(サノフィ)
《クロピドグレル硫酸塩・アスピリン配合剤》
コンプラビン(サノフィ)
《シロスタゾール製剤》
コートリズム(共和クリティア、寿製薬、持田製薬)
シロシナミン(サンド、ニプロ)
シロスタゾール(アルフレッサファーマ、大原薬品工業、小林化工、沢井製薬、塩野義製薬、シオノケミカル、全星薬品工業、全星薬品、第一三共エスファ、第一三共、ダイト、高田製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、東和薬品、日医工、日本薬品工業、日本ケミファ、日本ジェネリック、富士フイルムファーマ、ファイザー、マイラン製薬、陽進堂)
シロスタゾールOD(寿製薬、沢井製薬、三和化学研究所、ダイト、高田製薬、鶴原製薬、東和薬品、日医工、日本薬品工業、日本ケミファ、日本ジェネリック、ファイザー、富士フイルムファーマ、マイラン製薬)
シロスレット(ゼリア新薬、日医工)
プレタール(大塚製薬)
プレタールOD(大塚製薬)
プレトモール(旭化成ファーマ)
ホルダゾール(三和化学研究所、武田テバ薬品、武田テバファーマ、武田薬品工業)
《チカグレロル製剤》
ブリリンタ(アストラゼネカ)
《チクロピジン塩酸塩製剤》
チクロピジン塩酸塩(キョーリンリメディオ、杏林製薬、小林化工、沢井製薬、辰巳化学、東和薬品、日医工、ニプロ、日本ジェネリック、富士フイルムファーマ、メディサ新薬、陽進堂)
パナルジン(サノフィ)
マイトジン(鶴原製薬)
《プラスグレル塩酸塩製剤》
エフィエント(第一三共)

 血小板が集まって血栓けっせん(血液のかたまり)ができるのを防ぎ、血液の流れを改善する作用があります。血栓症の専門薬ともいわれる薬です。


 チクロビジン塩酸塩製剤は、血管の手術および血液体外循環に伴って生じる血栓・塞栓の治療、慢性動脈閉塞症へいそくしょうに伴う潰瘍かいよう疼痛とうつう冷感の改善、虚血性脳血管障害一過性脳虚血発作脳梗塞のうこうそくに伴う血栓塞栓の改善、くも膜下出血手術後の血流障害の改善などに使います。


 クロピドグレル硫酸塩製剤クロピドグレル硫酸塩・アスピリン配合剤チカグレロル製剤プラスグレル塩酸塩は、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞、安定狭心症、陳旧性心筋梗塞の改善クロピドグレル硫酸塩製剤は、末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制、クロピドグレル硫酸塩製剤は、虚血性脳血管障害後の再発抑制にも用います。チカグレロル製剤は陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクがとくに高い場合に用いられます。


 シロスタゾール製剤は、血栓をつくるのを抑えるとともに、末梢血管の内腔を広げる血管拡張作用をもっています。慢性動脈閉塞症による潰瘍痛み冷感などの症状の改善、脳梗塞心原性脳梗塞を除く発症後の再発抑制に用います。


①過敏症状(かゆみ・発赤などのアレルギー症状)、出血が現れることがあります。


 そのほか、クロピドグレル硫酸塩製剤では、胃・十二指腸潰瘍、肝機能障害・黄疸おうだん、血栓性血小板減少性紫斑病、間質性肺炎、汎血球減少症、好酸球性肺炎、血小板減少症、無顆粒球症、再生不良性貧血を含む汎血球減少症、中毒性表皮壊死えし融解症、皮膚粘膜眼症候群、紅皮症、多形渗出性紅斑、急性汎発性発疹性ほっしんせい膿疱症、薬剤性過敏症症候群、後天性血友病、横紋筋融解症(筋肉痛、脱力感、CK上昇、ミオグロビン上昇の症状)が現れることがあります。さらにクロピドグレル硫酸塩・アスピリン配合剤は、小・大腸潰瘍、葉血球減少、剥脱性皮膚炎、ショック、アナフィラキシー喘息ぜんそく発作が現れることがあります。


 チカグレロル製剤では、アナフィラキシー、血管浮腫が現れることがあります。


 チクロピジン塩酸塩製剤では、血栓性血小板減少性紫斑病、重い肝障害、無顆粒球症、再生不良性貧血を含む汎血球減少症、赤芽球ろう、血小板減少症、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、紅皮症、多形渗出性紅斑、消化性潰瘍、急性腎障害、間質性肺炎、全身性エリテマトーデス様症状(発熱、関節痛、胸部痛など)が現れることがあります。


 プラスグレル塩酸塩製剤では、過敏症、血栓性血小板減少性紫斑病が現れることがあります。


 シロスタゾール製剤では、うっ血性心不全、心筋梗塞、狭心症、心室頻拍、胃・十二指腸潰瘍、汎血球減少、無顆粒球症、間質性肺炎、肝機能障害、黄疸、急性腎障害が現れることがあります。


 このような症状が現れたときは服用を止め、すぐ医師に相談してください。


②出血傾向、吐き気、腹痛、下痢、便秘、腎機能障害、肝機能異常、味覚障害、頭痛、動悸どうきめまい、不眠、血圧上昇不整脈、血液障害、高血圧、むくみ、頻脈などがおこることがあります。


 このような症状がおこったときは、医師・薬剤師に相談してください。


③副作用出現をチェックするためにも、医師から指示された検査は必ず受けてください。


 万一、過剰に服用して以下の症状がみられたときは、すぐ医師の診察を受けてください。


・歯をみがくたびに出血する、皮膚に傷ができやすい、青あざ紫斑しはん)ができて治りにくい、切り傷からの出血が止まりにくい、不正出血がおこる、喀血かっけつ吐血とけつする、血尿や血便が出る、胃・背中・関節が痛むなど。


①いろいろな剤型がありますが、食後の服用が原則です。1日の服用回数・服用時間、1回の服用量については医師の指示を守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。


 飲み忘れたときは、そのときに飲んでもかまいませんが、2回分をいちどに飲むことは止めてください。


 クロピドグレル硫酸塩・アスピリン配合剤は、腸で溶ける錠剤なので、噛まずに服用してください。


②あらかじめ持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告してください。


 また、薬の効果と副作用についての説明をよく聞き、注意事項を守ってください。


 チクロピジン塩酸塩製剤の場合、使用開始後2か月間は定期的に血液検査を行う必要があります(原則として2週間に1回受診してください)。使用後に発熱、のどの痛み、鼻や歯ぐきからの出血、血尿または尿の着色、あざができる、皮膚や眼が黄色くなる、湿疹、食欲不振、意識低下、重い疲労感といった自覚症状を認めたときは、すぐ医師に相談してください。


③重い肝障害やじん障害の人が服用すると、その病気が悪化します。また、胃・十二指腸潰瘍などの出血を伴う病気をもつ人や出血がある人、白血球数が減少している人は、ひどい出血がおこるので、この薬を使えません。これまでにこの薬を飲んで過敏症状をおこしたことがある人も使用できません。クロピドグレル硫酸塩製剤は、セレキシバグを服用中の人は使えません。チカグレロル製剤は、リファンピシン、リファブチン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ含有食品との併用はできません。


 血友病の人、頭蓋内出血・消化管出血・喀血・硝子体出血などがある人には使用できません。


 また低体重児では、医師に相談してから用いてください。


 シロスタゾール製剤では、冠動脈狭窄の合併、糖尿病あるいは耐糖能異常、血圧上昇が続く高血圧症などの人は、医師に相談してから用いてください。


 また、うっ血性心不全の人、月経期間中の人、手術する予定や出血する可能性のある人、ほかの抗血栓剤を使用中の人、肝障害のある人、腎障害のある人、妊婦あるいは現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人は、あらかじめ医師に報告してください。


④薬によっては、服用中にビタミンKを大量に摂取すると血栓が生じやすくなることがあります。


 納豆ほうれん草をたくさんとったり、ビタミンKを含むビタミン剤を服用しないでください。


⑤服用を止めても、1週間は出血しやすい状態が続きます。服用中と同じ注意を守ってください。


⑥ほかの薬を併用する必要が生じたとき(かぜ薬や胃腸薬、漢方薬であっても)は、必ず医師に相談してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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