打捨・討捨(読み)うちすてる

精選版 日本国語大辞典 「打捨・討捨」の意味・読み・例文・類語

うち‐す・てる【打捨・討捨】

〘他タ下一〙 うちす・つ 〘他タ下二〙
[一] (「うち」は接頭語) 深い関心を払わないでおく。かまわないでおく。
① 勢いよく投げ出す。思い切って捨てる。うっちゃる。
大和(947‐957頃)一四八「蘆(あし)もうちすてて逃げにけり」
② 死、出家別離などで、人を後に残す。置き去りにする。
※後撰(951‐953頃)離別・一三一〇「打すてて君しいなばのつゆの身はきえぬ許ぞ有とたのむな〈よみ人しらず〉」
③ 気にしないでいる。無造作に物事をする。ほうっておく。
蜻蛉(974頃)上「もろともにいでゐつつ、つくろはせし草なども、〈略〉うちすてたりければ、おひこりて」
滑稽本浮世床(1813‐23)二「そんな事はとんと打捨る事さ」
[二] 人を斬って、首をとらずにそのままにしておく。斬り捨てる。
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)一「落人を切とどめんと、敵の兵したひよればふみとまり、切捨打捨引しほの海登(かいどう)の港に着にける」

うち‐すて【打捨・討捨】

〘名〙
① (「うち」は接頭語) すてること。放置すること。
② 人を斬って、首をとらずにそのままにしておくこと。また、その死体。切り捨て。
宗長手記(1522‐27)上「二千余討死討捨。生捕馬物の具充満」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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