家庭医学館 「慢性喉頭炎」の解説
まんせいこうとうえん【慢性喉頭炎 Chronic Laryngitis】
喉頭粘膜(こうとうねんまく)の軽い炎症が長期間持続している状態を、慢性喉頭炎といいます。
病気の状態によってさまざまですが、慢性(まんせい)カタル性喉頭炎(せいこうとうえん)または慢性単純性喉頭炎(まんせいたんじゅんせいこうとうえん)がほとんどです。特殊なものでは、萎縮性鼻炎(いしゅくせいびえん)(「萎縮性鼻炎」)に合併する萎縮性喉頭炎(いしゅくせいこうとうえん)や喉頭結核(こうとうけっかく)(コラム「喉頭結核」)、シェーグレン症候群(「シェーグレン症候群」)にともなうもの、アレルギー性喉頭炎(せいこうとうえん)(中気道(ちゅうきどう)アレルギー)、声帯粘膜(せいたいねんまく)の肥厚が主症状の慢性肥厚性声帯炎(まんせいひこうせいせいたいえん)などがあります。
[症状]
声帯に慢性炎症がある場合は嗄声(させい)(声がれ)が主症状です。声門上部の喉頭粘膜に慢性炎症があると咽喉頭異常感(いんこうとういじょうかん)、とくに乾燥感や異物感がおこります。気管や気管支に慢性炎症があると、せきやたんなどもみられます。急性増悪をきたすと急性喉頭炎(「急性喉頭炎」)と同様な症状がおこります。
[原因]
喫煙が原因のことが多いのですが、声の酷使や急性喉頭炎の反復、刺激性ガスや塵埃(じんあい)(ほこり)の吸入、大気汚染なども原因となります。乾燥した環境での仕事に従事している場合にもおこりやすくなります。
[検査と診断]
間接喉頭鏡や喉頭内視鏡で観察すると、喉頭粘膜の発赤(ほっせき)や血管の充血・怒張(どちょう)がみられることで診断がつきます。
慢性肥厚性声帯炎では、声帯粘膜の表在性白色病変をともなう腫れがみられ、アレルギー性喉頭炎では、喉頭粘膜が蒼白(そうはく)になっています。
[治療]
喫煙者は禁煙が必要です。飲酒は、慢性炎症を助長するので、治るまでは飲酒もひかえるべきです。加湿器を使用し、周囲の乾燥を防ぐようにします。
気道液の分泌(ぶんぴつ)を促進させる薬物や漢方エキス剤の内服、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬や0.1%程度のエピネフリンの喉頭ネブライザー、喉頭注入が行なわれることもあります。アレルギー性喉頭炎では、さらに抗アレルギー薬も用いられます。急性増悪時には、急性喉頭炎と同様の治療が必要になります。