愛甲郡(読み)あいこうぐん

日本歴史地名大系 「愛甲郡」の解説

愛甲郡
あいこうぐん

面積:一〇六・〇六平方キロ
愛川あいかわ町・清川きよかわ

現在の愛甲郡は神奈川県の中部からやや西北に位置し、東の一部は相模原市と厚木市、南は厚木市・秦野はだの市、西の一部は足柄上あしがらかみ郡、西から北にかけて津久井つくい郡に接する。東は相模川が境し、地形は東に低く、西南にいくにつれて高くなる。西から南は丹沢たんざわ(一五六七・一メートル)を中心とする丹沢山塊が郡界をなし、その渓谷中の湧水塩水しおみず川・本谷ほんたに川・ぬの川・唐沢からさわ川・川弟かわおと川などとなり、集まって中津なかつ川となり、郡内を東流する。近世以前の愛甲郡は、現郡域に東南の一部を除く現厚木市の大部分を加えた地域であった。

「延喜式」(民部省)では「アユカハ」(享保八年板本)、「アユカウ」(内閣文庫本)、神名帳では「アイカウ」(享保八年板本)と訓じ、「和名抄」は「阿由加波」と注している。

〔古代・中世〕

類聚国史(人部)大同二年(八〇七)三月三日条に「相模国愛甲郡人物部国吉女一産三男、賜稲三百束」とあり、郡名がみえる。また「和名抄」東急本によれば、愛甲郡内の郷は玉川たまがわ郷・英那あきな郷・印山いやま郷・舩田ふなきた郷・六座むつくら郷・余戸あまるべ郷とあるが、津久井郡が記されていないので、愛甲郡が津久井郡の一部に及んでいたと推察される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報