思様(読み)おもうさま

精選版 日本国語大辞典 「思様」の意味・読み・例文・類語

おもう‐さま おもふ‥【思様】

[1] 〘名〙
① 心に思っていること。考え。
源氏(1001‐14頃)澪標「あやしう、思ひやりなきやうなれど、思ふさまことなる事にてなむ」
② (形動) 望んでいたとおりであること。申し分のない、理想的なさま。
落窪(10C後)一「にはかにの給へりつれば、急ぎておもふさまにやあらざらむ。心ざしくちをし」
③ (形動) 思うとおりにふるまうさま。自由で、きままなさま。
※源氏(1001‐14頃)賢木「父親王(ちちみこ)も思さまに聞こえかはし給ふ」
④ (形動) ためらわず思いきり行なうさま。思うぞんぶん行なわれるさま。
咄本・当世手打笑(1681)四「ぬけたる者、友達と喧𠵅をして、思ふさまなる目にあひて」
[2] 〘副〙 ためらわず思うとおりに。思うぞんぶん。思いきり。おもうしな。おもうしま。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)七「一群一県の令官になされたらば、思さま気息をばゑのべまい」

おもう‐よう おもふヤウ【思様】

〘名〙
① 心に思っている所。考え。
※源氏(1001‐14頃)澪標「この人をかうまで思ひやりこととふは、猶(なほ)思ふやうの侍るぞ」
② (形動) 望みどおりの様子。申し分のない理想的なさま。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「大将いとおもふやうなる心ちし給ふ」
③ (形動) 思うとおりにふるまうさま。
今昔(1120頃か)三一「其の尼財(たから)豊にして、万(よろづ)皆思ふ様(やう)にてなむ年来過ける」

おもい‐さま おもひ‥【思様】

[1] 〘名〙 =おもうさま(思様)(一)〔文明本節用集(室町中)〕
[2] 〘副〙 =おもうさま(思様)(二)
苦心学友(1930)〈佐々木邦〉やるとも「手近にゐた数名はもう怺へ切れず、廊下へ逃げ出して思(オモ)ひさま笑った」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android