心臓移植の基準(読み)しんぞういしょくのきじゅん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「心臓移植の基準」の意味・わかりやすい解説

心臓移植の基準
しんぞういしょくのきじゅん

米スタンフォード大学は心臓移植の実施に当たって次のような基準を設けている。まず患者 (レシピアント) の条件は,(1) 心臓移植によらなければ1年以内に死亡する確率が高い,(2) 60歳以下,(3) 精神的に安定している,(4) 移植後に社会生活ができる可能性がある,の4点。現在では1年生存率が 80%,5年生存率が 75%,10年生存率が 70%に達する。次に心臓提供者 (ドナー) 側は,(1) 男性は 35歳まで,女性は 40歳までの脳死患者,(2) 心臓機能が正常で血行動態が安定していること,(3) 感染および脳部に大きな外傷がないこと,(4) 脳腫瘍 (しゅよう) を除く悪性腫瘍がないことが条件である。また適合条件としては,ABO式血液が一致し,特異的な抗リンパ球抗体がなく,ほぼ体格の合った症例が選択される。アメリカにおける心臓移植の臨床例は,おおむねこの原則に従って行なわれている。日本では脳死の倫理問題に総意が得られておらず,移植は1例にとどまっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android