御座やす(読み)ござりやす

精選版 日本国語大辞典 「御座やす」の意味・読み・例文・類語

ござり‐や・す【御座やす】

〘自サ特活〙 (動詞「ござる」に助動詞「やす」の付いてできたもの) 近世前期では遊女言葉であったが、後期江戸語では一般語となった。
[一]
① 「来る」「いる」の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。相手の動作に用いて、高い敬意を表わす。
浄瑠璃・山崎与次兵衛寿の門松(1718)上「与平様はどこにぞ。顔が見たい。ござりやせ」
② 「ある」の丁寧語。ございます。あります。
洒落本・駅舎三友(1779頃)茶屋「おめへさん今時の娘にゃアそんな野夫(やぼ)は御ざりやせん」
[二] 補助動詞「ある」の丁寧語。…でございます。…です。
※浄瑠璃・心中天の網島(1720)上「ざいしょとやら伊丹とやらへいかんす筈共聞及ぶ。どふでござりやす」
[補注]活用は「ござります」と同じと考えられるが、「ござりやする」「ござりやすれ」の形はみられない。

ござい‐や・す【御座やす】

〘自サ特活〙 (「ござりやす」の変化した語)
[一] 「ある」の丁寧語。あります。ございます。
※洒落本・船頭深話(1802)一「いろ男はしらねへが、めっかちならございやすよ」
[二] 補助動詞「ある」の丁寧語。あります。ございます。
※洒落本・世説新語茶(1776‐77か)変語「そのこっちゃアござゐやせん」
[語誌](1)安永一七七二‐八一)頃から用いられた。女性では女郎をふくめた岡場所関係者が用い、男性では吉原遊客をはじめ幇間船宿の者なども用いた。
(2)化政期(一八〇四‐三〇)頃には一般女性や通人ぶった男性の使用例もみられるようになる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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