彩礫(読み)さいれき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「彩礫」の意味・わかりやすい解説

彩礫
さいれき

南西フランスから東スペインにかけて、中石器時代の最初に出現したアジール文化に特徴的に伴う彩色された小石。長さ5~10センチメートルほどの礫を利用し、この表面帯状あるいは斑文(はんもん)状の彩色を施す。線刻による文様や敲打痕(こうだこん)をあわせもつものもある。用途は明確ではないが、祭祀(さいし)や呪術(じゅじゅつ)的な活動にかかわるものと考えられ、当時の精神活動の実態を探るうえで重要な遺物である。

[山下秀樹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の彩礫の言及

【アジール文化】より

…鹿の角を用いて平たい有孔銛が作られているが,一般的に骨角器は乏しく,作りは粗くなっている。美術品にも著しいものが認められなくなっているが,赤色オークで様式化された文様を薄い礫に描いた彩礫は,研究史の初期の頃から有名である。【山中 一郎】。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」