平取(読み)びらとり

改訂新版 世界大百科事典 「平取」の意味・わかりやすい解説

平取[町] (びらとり)

北海道南部,日高支庁沙流(さる)郡の町。人口5596(2010)。地名は,沙流川の下流側と上流側に2本の〈ピラ・ウトゥ・ナイ(崖の・間の・川)〉があり,その間の集落を〈ピラウトゥ〉と呼んだことに由来するとみられる。日高山脈に源を発する沙流川中流に位置し,森林が町域の大半を占める。沙流川とその支流の河谷沿いに集落が点在する。早くからアイヌ和人交易が行われたが,1869年(明治2)仙台藩の支配地となり,翌年140余人が初めて入植した。本格的な開拓は81年ころから始まり,牛馬の牧畜業を営む者が多かった。その後畑作水田も増え,日高一の米どころとして発展した。アスパラガス,トマトなどの野菜栽培,畜産も盛んである。日高アイヌの故郷ともいわれ,とくに沙流川沿いの二風谷(にぶたに),荷菜(にな),紫雲古津(しうんこつ)はアイヌの多い集落として知られる。二風谷には二風谷アイヌ文化博物館,萱野茂二風谷アイヌ資料館がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報