布施無経(読み)ふせないきょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「布施無経」の意味・わかりやすい解説

布施無経
ふせないきょう

狂言曲名出家狂言無布施経とも記す。ある僧 (シテ) が檀家で勤めを終えるが,いつも出る布施が出ない。いったんは帰るものの気になって立ち戻り,その家の主人になんとか思い出させようと「ふせ」の言葉を折込んだ説法をするが,それでも主人は気づいてくれない。僧は再び帰るが,あきらめきれずにまた戻り,袈裟を落して探すふりをし,袈裟のほころびを「伏せ縫い」にしてあるなどと言う。主人がやっと気づいて布施を出すが,僧はすぐさま受取ることもできず辞退するうちに,主人が僧のふところに布施を入れようとして隠してあった袈裟を見つける。動きは少く,僧の微妙な心の動きをほとんど独演で表現する。

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