市成村(読み)いちなりむら

日本歴史地名大系 「市成村」の解説

市成村
いちなりむら

[現在地名]輝北町市成

現町域の北西部に位置し、中央を平房ひらぼう川の上流おに川、北端諏訪原すわばら村との村境をなすうめわたり川が流れる。中世小河おがわ院市成(一成)とみえ、近世は市成郷に属したが、近世初期の村切では諏訪原村も当村のうちであった。

〔中世〕

建治二年(一二七六)八月日の石築地役配符写(調所氏家譜)小河院内として「市成六丁」とみえる。永仁五年(一二九七)六月日の善法寺尚清処分状(石清水文書)に正八幡宮(現鹿児島神宮)領として「一成」とみえ、山城石清水いわしみず八幡宮尚清は左京大夫局の死後は入江通清に返すものと定めている。しかし尚清は応長元年(一三一一)に「一成村」を含む正八幡宮検校職領の諸村を権別当の康清に譲っている(同年一二月一五日「善法寺尚清処分状写」同文書)。この尚清の一族と考えられる山城石清水八幡宮所司の善法寺了清は平山ひらやま(現姶良町)下向、その子孫平山氏を称し、その一族が当地に入って市成氏を称したという。同氏は南北朝期に島津貞久に降り、当地もその勢力下に置かれ、貞久から島津氏庶流の山田忠継に当地が与えられたとされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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