山王廃寺跡(読み)さんのうはいじあと

国指定史跡ガイド 「山王廃寺跡」の解説

さんのうはいじあと【山王廃寺跡】


群馬県前橋市総社町にある寺院跡。総社町総社の山王の地にあり、1921年(大正10)に塔の中心礎石が確認されて以来、石製鴟尾(しび)、根巻石、緑釉(りょくゆう)水差・碗・皿および銅鴟、塑造女人像頭部などが発見され、全国的にみても特色ある古代寺院跡とされ、1928年(昭和3)に国の史跡に指定、2008年(平成20)に追加指定があった。1974年(昭和49)に始まった発掘調査では、塔の基壇から西方約12m隔てて金堂跡が、塔跡から北方ほぼ1町(109m)の位置には僧房とみられる建物遺構が見つかるなど、伽藍(がらん)配置や寺域を推定できる遺跡も確認された。寺の存続については、出土瓦から7世紀の後半から11世紀ごろまでであることが判明し、「放光寺」などの篦(へら)書きの瓦の発見によって、寺は本来「放光寺」と呼称されていたものとみられ、「山上碑」の銘文中にみられる放光寺、あるいは『上野国交替実録帳』の定額寺の項にみえる放光寺との関連が考えられている。JR両毛線前橋駅から群馬バス「蚕業試験場前」下車、徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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