屋久島(町)(読み)やくしま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「屋久島(町)」の意味・わかりやすい解説

屋久島(町)
やくしま

鹿児島県熊毛郡(くまげぐん)にある町。鹿児島県佐多岬の南約60キロメートルの洋上に位置する屋久島と同島の西方にある口永良部島(くちのえらぶじま)を町域とする。2007年(平成19)上屋久町屋久町が合併して成立。屋久島は九州最高峰の宮之浦岳(みやのうらだけ)(1936メートル)をはじめ1000メートルを超す山々が連なる。口永良部(くちえらぶ)島は面積約36平方キロメートルの活火山島で、最高点は657メートルの古岳(ふるだけ)。屋久島の24集落、口永良部島の2集落からなる。黒潮からの水蒸気が高山の上で厚い雲となり、大量の雨を降らせる。雨水はいくつもの急流となり、滝をつくりながら海に流れ込む。各集落は、これら河川の扇状地や狭い海岸段丘上に点在。現在は海沿いの県道で結ばれているが、以前は、船に乗らなければ行けないところもあり、それだけに集落独自の文化が残される。かつては山への信仰行事である「岳参り」が各集落をあげて行われたが、現在は地域小・中・高の学校登山行事などとして受け継がれる。屋久島東部の長峰(ながみね)にある屋久島空港から、鹿児島、大阪、福岡へ定期便が運航。北部の宮之浦港からは鹿児島、種子島、口永良部島と結ぶ定期船、東部の安房(あんぼう)港からは種子島、鹿児島と結ぶ定期船が就航。おもな産業は、豊かな自然を利用した観光業と農業で、屋久島ではポンカンタンカンなど柑橘(かんきつ)類の栽培が盛ん。また漁業や土埋木(どまいぼく)を利用した木工業、豊かな水資源を活用した発電事業、電熱化学工業なども行われている。屋久杉とよばれるスギの原生林は、国の特別天然記念物に指定され、ウミガメの産卵地として知られる永田浜(ながたはま)は、ラムサール条約登録湿地。屋久島の約4割が屋久島国立公園の指定域で、1993年(平成5)にはユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。面積540.48平方キロメートル、人口は1万1858(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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