小沼郷(読み)おぬまごう

日本歴史地名大系 「小沼郷」の解説

小沼郷
おぬまごう

和名抄」高山寺本に「小治」と記し、訓を欠く。流布本には「小沼」と記し、これも訓を欠く。「日本地理志料」は高山寺本に「小治」と書かれているのを重視し「沼・治、皆海字之譌、郡南小海村(中略)うむぐち西海尻うみしり(中略)図攷之、亘小海・南相木北相木穂積・海口・海尻・稲子・馬流・鎰掛・広瀬・御所平・大(深)山・居倉・秋山諸邑、是其域也」とする。これによると現南佐久郡小海こうみ町以南、南牧みなみまき川上かわかみの諸邑を含むこととなるが、ここは千曲川上流の山間峡谷の地で一郷を成立させる条件に乏しい。

大日本地名辞書」は「今小沼村、并びに北大井、南大井(平原)長倉などなるべし。

小沼郷
おぬまごう

小川こがわ付近に所在した中世の郷。小川永豊えいほう寺旧蔵の明徳五年(一三九四)八月吉日の雲版銘(駿河記)に小沼県とある。応永六年(一三九九)六月一三日の畠山基国奉書(美吉文書)によると、富永資良の所領である小沼郷と、摂津能秀の所領であった益頭ましず庄との間で境界相論があり、古道から浜通りに至るまでを益頭内とすることで決着した。また益頭庄内と認められた湊口というのは小河こがわ湊の湊口であろう。長禄二年(一四五八)閏正月二三日、「小河・おぬま」の住人兵衛三郎ら四人が、紀州熊野那智大社に詣でて願文を奉納している(「小河小沼住人願文交名案」米良文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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