寿都(読み)すっつ

改訂新版 世界大百科事典 「寿都」の意味・わかりやすい解説

寿都[町] (すっつ)

北海道南西部,後志(しりべし)支庁寿都郡の町。北は日本海に面する。人口3443(2010)。1716年(享保1)江差地方のニシン漁が不漁のためこの地方への出漁者が増え,さらに1802年(享和2)越年の禁が解かれたころから移住者が増し,津軽藩の出張陣屋も置かれるようになった。明治に入ってからも人口が増え,行政の中心としても繁栄した。1918年からニシンが減少し,昭和に入ってからはまったく姿を見せなくなって,ニシン漁は衰退したが,漁港の整備,漁業の近代化は進められ,漁業は発展した。おもな漁獲物としてスケトウダラ,イカがあるが,寿都湾内でのアワビ,ホタテガイの養殖にも力が入れられている。年間の半分近くが風速10m以上の風が吹く強風の地で,とくに5月から8月にかけて吹く南南東の風は寿都のだし風と呼ばれている。《江差追分》で,女性を〈せめて歌棄(うたすつ)磯谷(いそや)まで〉連れて行きたいと歌われた歌棄,磯谷は町内の地名であるが,この女人禁制も1856年(安政3)ころに解かれた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報