寛文十年久留米藩寺院開基(読み)かんぶんじゆうねんくるめはんじいんかいき

日本歴史地名大系 の解説

寛文十年久留米藩寺院開基(寛文十年寺社開基)
かんぶんじゆうねんくるめはんじいんかいき

三冊

成立 寛文一〇年

写本 篠山神社文庫

解説 寺社奉行久留米藩内寺社の沿革現況住持や社人・庄屋などに書上げさせたもの。久留米藩では、寛文五年に幕府が宗門改目付下曾根三十郎・岡部正左衛門を派遣し領内を巡見させたことを契機に宗旨人別改を開始し、町奉行の兼務であった寺社奉行を独立させて家老の家柄出身の有馬半右衛門・稲次八兵衛をこれに任じた。本書は領内の寺院を掌握し統制するための調査結果と考えられる。第一巻に禅宗三五・天台宗七・真言宗九・法華宗六、第二巻に浄土宗三八・一向宗一一八・九品宗一の寺を宗派ごとにまとめるが、当時松崎藩の支配下にあった井上組に関しては、同藩領が久留米藩に返還されたのちの元禄一〇年に提出させたものが別途残る。寺院の沿革を通じて、とくに戦国時代から江戸時代初期に至る為政者の寺社政策をはじめ、当時の人々の精神生活をうかがい知ることができる。

活字本 全文と元禄十年井上組寺院開基を「久留米史料叢書」第七集に収録。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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