安座・安坐(読み)あんざ

精選版 日本国語大辞典 「安座・安坐」の意味・読み・例文・類語

あん‐ざ【安座・安坐】

〘名〙
① (━する) 落ち着いて坐ること。くつろいで坐ること。また、あぐらを組んで楽に坐ること。
※正法眼蔵(1231‐53)弁道話「諸仏自受用三昧に安坐せり」
※三体詩素隠抄(1622)三「人の来ることがなき時には、簾を垂れて、其の中に晏坐して」 〔荘子‐説剣〕
② (━する) 危急の場合などに、何もしないでのんびりしていること。
※前田孫右衛門宛吉田松陰書簡‐安政五年(1858)七月一三日「今日徒らに致安座候ては矢張助桀為逆之理に御座候」
③ (━する) 安らかにいること。安泰。また、安定させること。
※風曲集(1423頃)「貴人の御前の心に安座して」
浄瑠璃嫗山姥(1712頃)燈籠「誠に此度判官殿の忠節にて、我々迄あんざの段浅からず候へ共」
④ 仏語。仏像を奉じて殿堂に安置する仏事。
空華日用工夫略集‐至徳二年(1385)一一月二〇日「赴相国寺仏殿三聖安座点眼仏事之請
⑤ 能の型の一つ。あぐらを組んだ形で坐ること。どっかと坐る様子や、がっかりして泣きくずれる様子を表わす。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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