孫冶方(読み)そんやほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「孫冶方」の意味・わかりやすい解説

孫冶方
そんやほう / スンイエファン
(1908―1983)

中国の経済学者。1923年中国社会主義青年団に加入、24年中国共産党員となる。27年モスクワの中山(ちゅうざん)大学を卒業後、極東勤労者大学(クートベ)、中山大学で3年間政治経済学科目のロシア語通訳を務める。1950年代初めソ連を再訪し、ソ連の経済体制の弊害を研究した。56年に書いた三つの論文(79年刊行の『社会主義経済の若干の理論的問題』所収)でソビエト・モデルに伴う中国の経済管理体制の矛盾をえぐり出し、以後その改革(たとえば利潤導入)を強く主張し続けた。57年に中国科学院経済研究所に移り、また国家統計局副局長を兼任。64年経済研究所所長となったが、文化大革命中の68年4月5日反革命修正主義者として逮捕され、以後75年4月10日まで7年間投獄された。文革後名誉回復し、経済研究所顧問ついで名誉所長。80年5月中国社会科学院顧問、82年9月党中央顧問委員会委員に選ばれ、同年12月病床において社会科学院の党委員会から「模範共産党員」の称号を受けた。解放後の中国においてもっとも影響力の大きい経済学者である。

矢吹 晋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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