日本大百科全書(ニッポニカ) 「娘子関(じょうしかん)」の意味・わかりやすい解説
娘子関(じょうしかん)
じょうしかん / ニヤンツーコワン
中国、山西(さんせい/シャンシー)省東部、平定県の北東、太行(たいこう/タイハン)山脈中の要地。「ろうしかん」とも読まれる。一名葦沢関(いたくかん)、古くは承天塞(しょうてんさい)といった。娘子関の名は、付近の妬女祠(とじょし)にちなむとか、唐代の女傑、平陽公主の駐兵地にちなむとか伝えられる。古来、河北の勢力がこの地を破れば、北辺の要地である太原を制圧し、山西の勢力がこれを収めれば河北を得るといわれる軍事上の要地である。唐の則天武后の駐地、遼(りょう)の南侵期の争奪地となり、歴代戍兵(じゅへい)を置いた。日中戦争でも1937年(昭和12)夏の激戦地であった。
[星 斌夫]