失敬(読み)しっけい

精選版 日本国語大辞典 「失敬」の意味・読み・例文・類語

しっ‐けい【失敬】

〘名〙
① (形動)(━する) 人に対して敬意を欠くこと。無礼なさま。失礼
随筆・蘐園雑話(1751‐72頃)「丘隅方より徠翁に書いて給はれと申も余り失敬なりとて、門人の人に頼みたしとありければ」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二「失敬(シッケイ)ですが、僕等は飯としやう」
② 別れるとき、人の前を通るときなどに挨拶(あいさつ)として発する語。多く男性が感動詞的に用いる。ごめん。
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「ハア失敬(シッケイ)ごめん」
③ (━する) 人と別れること。暇(いとま)を乞うこと。辞去。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「失敬の挨拶も手軽く」 〔西廂記‐催鶯鶯夜聴琴雑劇〕
④ (━する) 他人のものをだまって自分の物にすること。盗むこと。〔現代新語辞典(1919)〕
※明治大正見聞史(1926)〈生方敏郎明治時代の学生生活「古本屋の店から古本を一冊失敬する」

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デジタル大辞泉 「失敬」の意味・読み・例文・類語

しっ‐けい【失敬】

[名・形動](スル)
人に対して礼を失した振る舞いをすること。また、そのさま。失礼。無礼。「失敬なことを言う」「失敬な奴だ」「きのうは失敬した」
先に席を立つこと。また、人と別れること。「ひと足先に失敬する」
他人のものを黙って自分のものにすること。盗むこと。「隣の家の柿を失敬する」
[感]人と別れるときのあいさつや、失礼をわびるときにいう語。多く、男性が用いる。「じゃあ、ここで失敬
失礼[用法]
[類語]1失礼無礼ぶしつけ無作法非礼欠礼不敬無遠慮礼を失する遠慮会釈もない忌憚ない・馴れ馴れしい3猫ばば着服横領横取りくすねるバイバイさようなら失礼ごきげんよう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「失敬」の読み・字形・画数・意味

【失敬】しつけい

失礼。

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